「もしプロスポーツ選手になるなら、1歳でも早く始めた方がいい」──
そんな言葉を、かつてのプロスポーツ選手からよく耳にします。
確かに、それには深い意味があると感じます。
感覚(センス)は努力では届かない部分がある
技術は、努力や学習によって後から身につけることができます。
しかし最終的な“詰め”の部分、つまり「違いを生む要素」は、
どうしても感覚(センス)に左右されるところが大きいと思うのです。
幼い頃から身体や感性を通して経験したことは、
理屈では説明できない“身体的な記憶”として残ります。
それが積み重なって、やがて大人になったとき、
何かを感じ取る力──いわば「直感的な判断力」として花開くのだと思います。
美的感覚も、幼少期の環境が大きく影響する
これはスポーツに限らず、美的な分野にも当てはまります。
子どもの頃から美しいもの、整ったデザイン、音楽や建築に触れる環境に育った人は、
自然と「見る目」や「感じ取る力」が育ちます。
そしてその着眼点の面白さが、将来の大きな武器になるのです。
もちろん、大人になってから美的なものを志しても、
理論的に学び、努力を重ねることで技術を身につけることは可能です。
ただ、その上で感じる「何かが違う」という微妙な差──
それこそが、幼少期の感覚経験によって形成された“センスの壁”なのかもしれません。
センスは30年かけて育つ感覚の蓄積
私自身の持論では、20歳過ぎてから始めた場合、センスが身につくまでに30年ほどかかると感じています。
そして、ようやくその時点で「真のスタートライン」に立てるような気がします。
つまり、センスとは一朝一夕に身につくものではなく、
長年の経験と観察、感受の積み重ねによって磨かれていくものです。
身体能力に期限があるスポーツと、年齢と共に磨かれる芸術
スポーツ選手の場合、身体能力に明確な期限があります。
若い頃から感覚を掴み、センスを発揮できる人が、結局は上に行きます。
一方で、年齢を重ねてから身につくセンスもあります。
それは、引退後に“指導者”として花開くタイプの感性。
経験と時間,苦悩を通じて磨かれた視点が、後進の育成に生かされるのです。
子どもの可能性を伸ばすためにできること
結局のところ、子どもの頃にどれだけ多くの刺激と体験に触れられるかが重要。
親が導きすぎても、放任しすぎても正解ではありません。
ただ、楽しみながら自然に夢中になれる環境を与えることが、
最も幸せなスタートになるのではないでしょうか。
子どもがどんな才能を持っているかは、誰にも分かりません。
けれど、好きなことを早く見つけ、自由に表現できる環境がある──
それこそが、センスを磨く一番の近道だと思います。
まとめ:努力とセンス、どちらも大切に
- センスは幼少期の経験が大きく影響する
- 技術は努力で学べても、感覚は時間と体験で育つ
- 美的感覚もスポーツの感性も、環境が基礎をつくる
- 30年かけて磨かれる感覚もある
- 何より「楽しむこと」が、才能を伸ばす第一歩
努力だけでは届かない、感覚という不思議な世界。
それを信じ、焦らず育てていくことこそが、本当の成長なのかもしれません。

