私は月に2回ほど、大手カット専門の激安サロンで髪を切っています。
スタイルは、横1mmで上を少し残したソフトモヒカン。料金は1300円。価格が価格ですから、多くを望んでいるわけではありません。
笑顔が消えた?と感じたここ数年
その店には創業当時から通っています。
ただ、感覚的にこの3年ほど、従業員の笑顔をまったく見ていない気がするのです。
私は複数の店舗を利用しますが、正直あまり心地よくない接客をする女性スタッフに当たることもあります。
ネット上でも、「こんな接客をしていて、相手を楽しませたり、誠意といった大切なものを無くしてしまうのではないか」という書き込みを目にします。
環境が変われば、人は変わるのか
けれど、店員の立場からすればこう答えるのではないでしょうか。
「それなりの場所に勤めれば、それなりにちゃんとできる」と。
私も、そう思います。
今、安売り店で雑な接客をしていたとしても、格式あるサロンや高級店に移れば、きちんとした振る舞いはできるはずです。
つまり、人は皆、表と裏の顔を持ち、状況に応じて演じ分けることができるのです。
「お客様は神様」の国の演技力
特に日本人は、「お客様は神様」という文化の中で育ってきました。
平均的な接客レベルは世界的に見ても高いと言われます。
TPOに合わせ、どの程度の笑顔を見せ、どの程度の敬語を使い、どのくらい丁寧に振る舞うか。それを演じることは、さほど難しくないのかもしれません。
優しさの裏にあるもの
介護や病院、さまざまな接客業の現場でも、優しくて良い人に見える人がいます。
しかし、私的な部分では暴力的だったり、逆に客側がクレーマーだったりすることもあるでしょう。
以前、私の知人が超有名な外資系ホテルの支配人と、いわゆるセレブ風の人物が会った場面に立ち会ったことがあります。
その支配人は、ハイクラスの顧客を相手にしているだけあり、振る舞いは実にエレガント。奉仕の精神に満ちた、非の打ちどころのない態度でした。
ところが後日、そのセレブ風の人からこう聞かされたのです。
「彼は今、奥さんに暴力を振るって訴えられて係争中なのよ」
まさに、仕事を完璧に“演じる”プロフェッショナルです。
人間は、そんなものかもしれない
私は、人間とはそういうものだと思っています。
誰もが善と悪、表と裏を持っている。それ自体は特別なことではなく、ごく普通のことなのではないでしょうか。
本当に人柄が出る瞬間
ただし、各分野の接客において、お客が本当に困っている時、苦しんでいる時、弱っている時、あるいはクレーム処理の場面では、ある程度その人の本質が表に出てくる気がします。
そこは非常に大きな違いです。
もっとも、そうした場面で優しく対処するタイプが、必ずしも「完全な善人」とは限らないとも思います。
善と悪はグラデーション
結局のところ、人間は善か悪かの二択ではありません。
善と悪の分量の違い。そのバランスの中で、日々を生きているのだと思います。
1300円のカットサロンで髪を整えながら、そんなことを考えています。
