小規模レストランが持つ“特別な魅力”と、拡大した瞬間に失われるもの

旅・ホテル・食

長年、さまざまな街のレストランを巡ってきましたが、どうしても忘れられない経験があります。
それは、小規模なレストランが繁盛し、店舗を拡大した途端に、以前の魅力が失われてしまうという現象です。

小さな店だからこそ生まれる「個の力」

小規模な店の魅力は、何よりもオーナーの人柄が店全体に染み渡っていることです。
料理の味、接客の温度感、空間の雰囲気、出てくる一皿の所作…。
全てに“その人らしさ”が宿り、まるでホームパーティに招かれたかのような温かみがあります。

私がよく訪れていた自由が丘の小さなレストランもそうでした。
オーナーの気配りは自然で、スタッフもその姿勢を受け継ぎ、店全体が一つの“作品”のようでした。
「人を楽しませたい」「少しでも幸せになってほしい」—そんな純粋な気持ちが伝わる、特別な空間だったのです。

繁盛→拡大で生まれる変化。組織化は必然だが…

人気が出れば、もちろん売上を伸ばしたいという気持ちはわかります。
規模が2倍になれば売上を2〜3倍に伸ばしたいと考えるのは自然なことです。

しかし、規模が大きくなれば、
・スタッフの数が増え
・マニュアルが整備され
・インカムを使ってオペレーションを共有し
“組織的な接客”へと形が変わっていきます。

それは決して悪いことではありません。
大規模店ならではの快適さや洗練されたオペレーションにも価値があります。
ただ、あの自由が丘の店に久しぶりに訪れた時、
「もうここは、あの頃の店ではない」と感じ、足が遠のいてしまった自分がいました。

複数店舗化で薄まる“味の記憶”

さらに、複数店舗展開やフランチャイズ化が進むと、初期の頃の味が徐々にぶれていくことがあります。
オーナーが直接目を光らせ、手を入れていた時とはどうしても違ってくるのです。

もちろん、それでも繁盛する店はたくさんありますし、ブランドとして成功する道でもあります。
ただ、個人的には、あの“小さな店ならではの温かさ”に勝るものはないと改めて思います。

小規模も大規模も好き。だからこそ感じた「喪失感」

私は、小さな店の温もりも、大規模店の快適さもどちらも好きです。
その両方に魅力があります。
ただ、拡大した瞬間に“小規模時代の大切な空気”が失われていくのは、少し切ないものです。

今回は、私が自由が丘で味わった経験をきっかけにまとめてみました。
飲食店の魅力は、規模ではなく、結局は“人”が作るのだと改めて感じています。

🏆 👉 あわせて読みたい 今人気のおすすめランキングはこちら!